吉澤大使の新年懇親会挨拶
平成21年1月24日
本日はご多忙中のところ、新年懇親会に参加いただき、ありがとうございます。
今般のフィジーの大雨及び洪水に際しては、多くの邦人の方も被災されました。最初に被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
日本政府は、去る1月16日、今回の洪水被害に際し、簡易水槽、ポリタンク、スリーピングパッドなどの緊急援助物資、1000万円相当すなわち199,000フィジードル相当をフィジー政府に贈ることを発表しました。今後は、さらにフィジーに対する復興援助も検討されていくこととなると考えられます。
また、ここにおられる多くの皆様から個人的なご寄付をいただき、その合計5480ドルを、1月16日フィジー赤十字に寄付することができました。この場を借りて、ご協力くださった方々にお礼を申し上げます。
ここで、日本とフィジー、さらには、日本と太平洋諸国との関係について、いくつかの点をご報告申し上げます。
まず、本年5月22日・23日の両日、北海道のトマムにおいて、第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議、通称太平洋・島サミット)が開催されます。このサミットは1997年以来3年1回開催されており、太平洋島嶼諸国の首脳らが集まり、日本の首脳とともに、日本と太平洋島嶼国との協力関係を議論する場となっております。第5回島・サミットにおいても、地球環境問題など様々な共通の課題にどのように取り組んで行くかが話し合われるものと考えられます。
この1月21日木曜日には、我が国の一般無償資金協力により建設される南太平洋大学の情報通信技術センターの起工式が行われました。 完成すれば引き続き行われるJICAの技術協力とあわせて、太平洋島嶼国全体の高等教育に大きく裨益すると考えられます。また、昨年は、草の根無償資金協力として、学校施設や給水設備などの分野において、14件約1億円の支援が行われました。このほか、現在約50名のJICA専門家、シニアボランティア、JOCVの方々がフィジーで活躍しておられます。日本は、フィジーが一刻も早く民主体制に復帰することを希望するとの立場であり、この点は機会ある毎にフィジー関係者に伝えてきているところですが、こうした中にあっても、フィジー国民の生活向上に資するような支援、太平洋島嶼国を広域的に裨益するような支援については継続していくこととなると考えられます。
次に、フィジーにお住まいの方々に関係の深いいくつかの点について、お話させていただきたいと思います。
エアパシフッィク航空が20年にわたり続けてきた成田―ナンディ直行便を今年3月末で中断することについては既にお聞き及びのことと存じますが、これは、フィジーに住む我々全員にとって大変残念なことでありますし、また、特にフィジーで観光関係のお仕事に携わっている方々にとっては極めて深刻な問題であると拝察しております。
エアパシフッィク航空としては、今後、納入が遅れているボーイング787型機の導入が進み、かつ、経済状況の好転があれば、日本路線に復帰したいとの希望を持っているようですので、そうした可能性を含め、何らかの形で近い将来に日本とフィジーとの直行便の運航が再開されるよう、引き続き関係者に働きかけて行きたいと考えております。
外務省におきましては、在外公館による民間企業支援及びODA供与に際しての官民連携を推進しております。具体的には、企業の方々がネットワーキングのためにレセプションなどを開催される場合に、共同開催の形でこの公邸をご活用いただくことができます。また、企業の方々の活動のために相手国政府にインフラ整備を希望する場合に、これをODA対象案件としていくなどの連携も推進されております。こうした方法の活用について、今後積極的ご相談いただければと考えております。
フィジーの治安状況については、強盗や窃盗などが月平均で500件以上発生している状況です。先日もメールアドレスをお届けいただいた方々には、防犯上の注意事項を送付させていただいたところですが、引き続き十分な防犯に心がけていただくようお願いいたします。また、不幸にも犯罪被害に遭われた場合には、情報を共有してさらなる対策を進めていくとの観点から是非とも、大使館の警備担当小野澤書記官などにお知らせいただければ幸いです。昨年11月及び12月、邦人旅行者が強盗傷害事件の被害者となった事例で、犯人は逮捕されたものの、被害者が既に帰国し証言が得られないため公判が維持できないとの理由で、犯人が釈放されてしまうという事例が2つほどありました。これでは、旅行者に対する犯罪への抑止力がないことが懸念されましたので、今年1月私からカイユーム司法長官兼観光大臣に善処を申し入れました。
これに対し、カイユーン大臣は、警察当局などに問題提起することを約束するとともに、同大臣より、旅行者の多いナンディーでは凶悪犯罪などで被害者が訴追を望む場合には、被害者の帰国前に裁判ができるよう、深夜や週末でも裁判を実施できる体制が整っていること、被害者の帰国後であってもテレコンフェレンスによる証言により公判を行う方法があることなどの説明がありました。
在フィジー大使館では、防犯上の注意事項、フィジーの大雨情報、フィジーの洪水被害に際しての日本政府の緊急援助の情報などを、皆様へのE-メールによりお知らせしてきました。今後ともこうした情報提供を一層充実させていきたいと思っておりますので、まだそうなさっていない方々は、是非E-メールアドレスを大使館までお知らせいただければ幸いです。また、大使館のウェブサイトの充実にも努めていきたいと思っておりますので、こちらの方もご利用いただければ幸いです。 皆様方には既に、在留届けを提出いただいていることと思いますが、その内容に変更が生じる場合、特に転任・帰国などの場合の変更の届けの提出も励行いただくよう、宜しくお願いいたします。 また、今年は、衆議院選挙が行われる見通しですが、在外選挙登録がお済みでない方は是非手続きをとられるようお願いいたします。
ご多忙の中お集まりいただいたことに重ねてお礼を申し上げますとともに、2009年が、皆様にとり良い年となるよう心よりお祈り申し上げます。